アンティークへようこそ
いつもの夢
いつもの声
いつもの人影
いつになったら俺はこの微かな記憶から解き放たれるんだろう?
苦しい・・・。
「若っ・・・大丈夫ですか?」
だ目を覚ますと千影がベッド際で水を持って俺の顔を心配そうに覗き込んでいた。
「・・・また・・・うなされてたか?」
自分では憶えていない。
ベッドから起き上がり汗をかいた額に掛かった髪の毛をかき上げる。
「・・・はい」
千影は目をふせながら頷いた。
「そうか・・・影」
「言いません。誰にも」
俺の言おうとしたことがわかっているかのように千影は言った。
「・・・」
「いい年した男がこんなんじゃ笑われるよな」
「そんなことありません」
千影はすぐそうきっぱりと言った。
「でもな・・・お前が居てくれて、俺は本当に救われてる」
本当にそうなんだ。
「若・・・」
「ありがとうな」
離れなくてはダメだと分かっていても、それができないくらいに俺は
千影を必要としている。
誘拐された時の恐怖。
それもある。
でもそれ以前に・・・
俺は千影のことが好きなんだ。
だから離れたくないんだ。
「影・・・お前、このままここにいるのか?」
だからあえてそう尋ねる。
「若が望むなら」
いつもと同じ答え。
「俺じゃなくて、お前のキモチだよ」
「私の望みはいつも若の望みです。」
「・・・・」
たまに千影は普段よりもしっかりした態度を取るときがある。
俺よりも4つは歳上だけど。
「俺の?」
「はい。」
「そんなん、お前の人生が・・・」
そう言ったら影は予想外の言葉を口にした。
「いいんです。私は、若のことが好きですから」
「・・・・は?」
あまりにもスッパリ言うものだから俺は思わず聞き返してしまった。
「ですから」
「ちょっまて。わかった。けど、その「好き」ってのは・・・」
俺すら口にしなかった言葉をコイツはいとも簡単に言ったんだ。
今まで一度もそんなことなかったくせに。
「あ、わかった!小野だな?アイツに毒されたんだな?そーかそうだったのか」
そう俺がちゃかすと
「いえ。それ以前から私は若のことを好きでした。」
そう言った。とても真剣な表情で。
「・・・・以前?」
「はい。若がまだ幼いころからずっと」
幼いってことは、誘拐された当時のことだろうか?
なんだか聞いててムカツイタ。
お前の好きは単なる子供同士の言う好きなんだろう?
だったら、俺の「好き」を教えてやる。
「お前、俺がお前のこと好きなの知ってるか?」
その言葉に千影は目を見開いた。
「俺の言う「好き」はな、こーゆー「好き」なんだよ」
そう言って胸倉を掴んで引き寄せた俺は千影の唇に自分の唇を重ねてやった。
「どうだ。お前の「好き」はそうじゃねぇだろ」
どこまでコイツは度胸がすわってるんだよ。
「いえ。私の「好き」も若と同じです。」
そういって今度は奴から口付けてきやがった。
しかも、俺のするキスとはちがったもっと深いやつ。
「おまっ・・・どこでこんなの憶えてきたんだよっ・・・」
あわてて身を引いてそう言うと千影は笑うだけだった。
「・・・もういいよ。寝る」
俺が今まで悩んでたのはなんだったんだ。
こいつの気持ち聞いたら胸がスカッとしてきやがった。
「おやすみなさい。若」
千影は、俺が布団にもぐりこんだのを見届けてから自分は
そのまま部屋から出て行こうとした。
だからちょっと悔しかった。
「影。」
「・・・はい?」
コップを持ったまま振り向くやつの表情がなんとなく・・・。
「ここにいろ」
「・・・私に寝るなと言うことですか?」
。。。バカ。
「ちげーよ。こい」
「・・・?」
俺の言うとおりに首を傾げながら近づいてきた。
「こん中で寝ろって言ってんの。」
「・・・若の布団で?一緒にですか?」
なんか今引いただろ?
「いやなのか?」
「そうじゃありません!そうじゃなくて・・・その・・・」
なにをためらってんだ。バカ。
「したいなら、そー言えよ」
「っ・・・」
ふ・・・顔真っ赤にしてやがる。
この巨体が。ちょっと今可愛く見えた。
「したかったんだろ?」
「・・・・」
今更黙ってうろたえたって無駄。
「来いよ。しよーぜ。」
誘ってみたりして。
「・・・いいんですか?止められませんよ?」
「いいよ。俺もお前が欲しいから」
言った俺がバカだった。
「もっ・・・やめっ・・・影っ」
「ダメです。足りません」
「あぁっ・・・はぁっ・・・ちょっ・・・」
受身をやってみろ!!辛さがわからねぇから4回も5回もできるんだろ!?
もう俺はへとへとだった。
これはもう誘うものじゃねぇ・・・な・・・。
そう思いながら俺の意識はすでに飛んでいた。
「若?・・・若!?・・・・」
その後の千影はいつもの千影に戻っていた。
自分のしたことに慌てて俺の身体拭いたり。
朝起きたら一番先に謝られた。
謝るなら、最初からするなっつーの。
でも・・・。いつもみたいに朝の嫌な気分には今日はならなかった。
きっと千影が隣にいたからだと思う。
きっと明日もいつもの夢はみるだろう。
だけど、起きたときに隣に千影がいるから
きっと怖くない。
やっぱり、俺には千影が必要なんだと思う。
これからも、ずっと。
END
アンティークへようこそ。
とか言ってみたりして(笑)
タイトルと内容が別物ってどういうこと!?
まぁそんなところは細かく気にすんじゃないよ。
そんな感じで影×若です。(どんな感じよ)
あー懐かしいなぁ。
春夜とこれにハマったころ下校途中に思いっきり
ギャルソン最高!!!とか言ってたっけ(笑)
影若大好き!とも言ってたっけ。(笑)
コロコロ変わるなぁウチラって・・・。(苦笑)
でもしょうがないね。極悪だから!
(よくわかんねぇーー)
2003/5/19
月ノ瀬 海
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