愛してると言ってくれ



「・・・・・休憩してきます」
不意にデスクから立ち上がり捜査一課長にそう一言伝えると
捜査一課を後にした。

「・・・・・・・・・・・・・・安西・・・・・出るかな・・・・・・」

携帯の奥で機械音が鳴り続ける。
携帯の機械音が三回鳴った時、聴き覚えのある声が聞こえてきた。
「どうした?仕事中だろ・・・・?」

優しくなだめる様な声。



「・・・・・・・・・安西・・・・・・」

「ん?どうした?珍しいな。仕事中に電話を掛けてくるなんて・・・・」
様子が違う事に気付き、優しく話しかける。
優しい安西の声に言葉を詰まらせる。


「あ・・・いや、すまない・・・・・なんでもない・・・・・・」

「どうした?様子がおかしいぞ・・・・」

心配そうな声が携帯から聞こえてくる。




「・・・・・あいたい・・・・・」



小さく小さく呟いた。
それは、安西が聞き取れるか否かの本当に小さな声で。

「・・・・・・・・・・・・・そういう事は、もっと聞き取れるように言えよ。」

半ば呆れた様に呟いた。
「っ・・・・・・・」
安西の言葉に息を詰まらせた俺は再び小さく謝った。
「すまな・・・・・い・・・・またかける・・・・・」


「おいっ!ちょっと待て!!」


言うのが早いか、電話を切ってしまった。
「・・・・・・・・・なにやってるんだ・・・・・俺は・・・・電話して見つかったら取り返しがつかないのに・・・・・・・・・」
「賢太郎・・・・様子がおかしかった・・・何かあったのか?」
再び携帯が鳴り始め、俺は、驚いてビクッと体を振るわせた。
再び鳴り出した携帯のディスプレイを見ると自宅の番号が表示されていた。
躊躇したが、ゆっくりと通話ボタンを押す。




「・・・・・・もしもし」

「急に切るな。・・・どうしたんだ・・・俺に話せ。

少しは楽になるだろう・・・傍に来て欲しいなら、今すぐにでも行ってやる・・・お前のためなら・・・」

優しくそう呟いた。

「いや・・・なんか不安になっただけだ・・・。ここ3週間ぐらい顔を見ていないから・・・」

こんな本庁の中で恋人であるが、その前に犯罪者である安西と話をして

いつ聞かれるか分からない状態の中・・・

それでも俺は、内心・・・・安心感を覚えていた。

「明日ぐらいには、少しだが帰れる。その時に・・・少しだけ傍に居てくれないか・・・?」

俺は、自分でも知らぬ間に俯いて話していた。




心のどこかで、後ろめたいのか・・・・

それとも、また別の何かか・・・・

俺には、もう判断が付かなくなっていた

安西に心を奪われていたから



「あぁ・・・分かった。好きなだけ傍に居てやる。」
電話の向こうで安西の優しい声が聞こえる。
「明日・・・出来るだけ早く帰ってこいよ?」
俺は、あぁと一言返事をして電話を切った。


今・・・
心臓の鼓動が早くなっている。
そして、心のどこかで嬉しくなっている自分がいる。
なんて、恋する乙女か。俺は・・・と自分で自分に
ツッコミを入れつつ、捜査一課に戻った。






さっきまでとは違う・・・

安西と話したことで今までの不安が

少しだけ軽くなった気がする。






事が一段落して、俺は官舎に向かった。
部屋の鍵を開け「ただいま」と中に居るはずの安西に向けて呟いた。
「おかえり」
中から出迎えた安西は、壁に寄りかかり少し笑った。
安西の顔を見て、気が抜けた。
ただ、安西に触れたくて抱きしめた。




ただ・・・・鼓動を感じたかった。



俺たちは、すぐに抱き合った。
寝室に行く時間も惜しんでソファーの上で・・・
「安西・・・・酷くしてもいい・・・・から・・・・いっぱいしてくれ・・・」
「言われなくても・・・ご主人様・・・・」
安西が優しく笑う。
「・・・・・・・愛してる・・・・あんざ・・・・ぃ・・・」
俺は、安西を見上げながら呟いた。
「俺も・・・・愛してる・・・・賢太郎・・・・」
安西の汗が動くたびに俺の体に落ちて、俺のと混ざる。
「あっ・・・・・ん・・・・・・いぃ・・・あんざ・・・・っ・・・」
体を強く揺さぶられながら、甘い声を響かせていた。
こんな、男なのに俺が好きだと言ってくれたから。
「いい・・・・あんざい・・・・・っぃ・・・・ぁ・・・・」
してる最中は、俺も夢中になってるからあんまり考えてないけど
「あんざい・・・・・すき・・・・っ・・・・」
ずっと、名前を呼び続けたい。
「ぁっ・・・・・・ぃぃっ・・・・安西・・・・・あんざ・・・・」
いつもより、ずっと傍に感じられるように・・・・





「あんざい・・・・・・・っ」

END

やっと、まとまったー。
ずぅーっとまとまらなくて、どうしよう・・・と思っていたのですが
ようやく、まとまりました!!!!!
良かったvvv
安新も、ずっと書きたかったし。
これは、いつぞやの・・・・・ってか、いつか忘れた(笑)
けど、キリバンを踏んだ海くんに奉げよう♪
ありがたく思いなさいよっ!!
君のためーに頑張ったんだから!(笑)

2004.8.26

春夜