大石助けて!!
不二の陰謀〜不二×菊丸〜

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「えっ?えっと・・・帰らないです」

不二の恐ろしい笑みに負け、不二の相手をせざるを得なくなった。

「良かった、もし帰られちゃったらどうしようかと思っちゃったよ」

不二はゆっくりと英二に近づく。

「ハハ・・・」

愛想笑いを浮かべて、近づいてくる不二と距離を取ろうとする。

「どうして後退りするのかな?でも、英二。後ろ見てごらん?」

にっこり優しく微笑む。

菊丸の後ろには壁が存在していた。

「えっ?あっ・・・壁・・・」

「ちなみにここは、あんまり人の通らない北校舎だからね。」

「なに・・・しようと思ってるの?」

壁に押さえ付けられ、考えられることは一つしかないのだが、

信じたくない為、恐る恐る不二に訪ねる。

「なにされると思う?」

嫌みったらしく聞き返す不二はさらに顔を近づける。

「・・・・」

不二に逆に聞き返されて、何も答えられなくなった。

そして、何を想像したのか顔がみるみる真っ赤になっていく。

段々近づいてくる不二の目を背ける。

「あれ?何想像しちゃったのかな?ほら、こっち向いて?まずは・・・」

クイッと菊丸の顎を上に向けてあえて目を合わさせる。

「あっ・・・やだ・・・不二・・・放して!」

菊丸はもがいて、手を放させようる、不二の方が力が強いため放してくれない。

「・・・ねぇ、英二・・・英二は僕のこと好き?」

行為が少し優しくなる。

「えっ?嫌いじゃ・・・ないけど・・・不二は優しいし・・・強いし・・・」

好きと聞かれて戸惑い、あたふたする。

「それなら、何の問題もないよね?相思相愛v」

人差し指を立ててにっこり微笑むと唇にチュッ触れるだけのキスをした。

「なにすっ・・・!!」

自分の唇をゴシゴシと手の甲で擦る。

「・・・そんなに嫌?僕のキス・・・」

その行為に傷ついた表情をする。

「嫌も何も・・・不二は手塚が好きなんだもん・・・だから・・・キスなんて・・・」

菊丸は不二の顔が見れないため俯いた。

「ん〜・・・そっか・・・でも僕は今、エージとキスしたいんだけどな。」

相変わらず寂しげな表情をしている。

「だっ・・・ダメだよ。おもいっきり思いっきり浮気じゃん!!

何より手塚に怒られちゃうよ〜俺やだもん」

とんでもない事を言い出す不二に驚いて追いつめられている壁から逃げようとする。

「浮気も恋愛の一貫だよ?

・・・まぁ、浮気させるほど手を出さない手塚に原因があると思えば怖くないよ。

そう手塚に言えば起こられること無いからさ」

悪魔っぽいことを言うのが不二である。

「ううん・・・そんなの違うよ。嫌だ・・そんなの手塚に言えばいいじゃん!俺・・・やだぁ!!」

不二を突き飛ばして走り出した。

「あ!エージ!待って!!」

「・・・・・・・うーん、またもや逃げられてしまった・・・。」

ふぅ、とため息をつくと菊丸が走っていった方へ足を向ける。

「はぁ・・・はぁここまで来れば見つからないかな?」

菊丸は、階段の影で見えない掃除用具入れの後ろに座り込んだ。

「はぁ〜、ビックリしたー不二がいきなりキスするんだもん・・・

それにしても、柔らかかったな・・・不二の唇・・・」

自分の唇を触ってさっきの感触を思い出す。

「うーん、どこまで行っちゃたんだろう。エージ・・・。

猫みたいなトコあるからなぁ・・・ん?あんな所に隠れてる・・・」

クスッと笑いながら上履きだけロッカーの影から見えている菊丸に近づく。

「不二のバカ・・・」

小声で呟く。