貴方が呼ぶから
「滝ちゃんていい匂いするよね」
この学園で有名な暴君は処構わず私に触れてくる。
いまだってこの暴君ー…同じ委員会に所属する体育委員長の七松先輩に学園の中庭で不覚にも後ろを取られて背後から抱き着かれている。
私だって4年はこの学園で忍術を学んできている。
けして他人には見せないが毎日の鍛練だって怠らない。
人間の気配くらいは気を緩めていたとしても察知することだってできるようになる。
なのに彼の気配に気付けなかった。 これが彼とのー… 最上級生との力の差とゆうわけで。
この暴君は一々私を落胆させる。
「…先輩…外です…」 一息吐き出してからそう言ってみれば
「知ってるよー滝ちゃんてばあたりまえじゃない!」
そういう意味ではないのに… この人は知っていて言うから手に負えない。
「恥ずかしいので離してください」 少し強く言ってみれば
「わたしは平気だよー」 なんて言って忍装束の胸の袷から手を侵入させてくる。
「…先輩…あの、…夜に伺いますから…」 少し引いて小さく言ってみれば
「…仕方ない我慢するか!」 そう言いながらゆっくりと離れてくれた。 満面の太陽のような笑みを添えて。
そして離れたはずの先輩は、また少し私に寄ってー…耳元まで身体を屈めて囁いた。
「待っているよ、滝」
特上の甘い声で。
嗚呼、貴方と言いう人はー…
貴方の呼び方ひとつで私は恋に落ちる
end
いつも小平太に抱き着かれると滝夜叉丸は大慌てで焦ったり妙な言葉を発してると思うんです…
だからちょっと妖艶さを出したかったんですが…断念(笑)
次作がんばろう!!(笑)
初こへ滝でした!
20110328
海
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