夕陽の朱は、キミの色


「さいとーさーん。
たかまるさーん。
さいとータカ丸さーん?」

長屋の中を歩き回りながら、久々知平助が斎藤タカ丸の名前を連呼する。

今日は、伸びた髪を切って貰う約束になっている。
しかし数分前、部屋にいるはずのタカ丸がいなかった為に長屋の中を連呼しながら歩き回る羽目になったのだ。


廊下を曲がろうとしたとき、影からタカ丸が顔を出した。

「呼んだ〜?」

「部屋に行ったけど、居なかったから。」

「ごめんね、先生に呼ばれてそっちに行ってたんだよね〜」

少し申し訳なさそうに、しかしニコニコしている。

「じゃあ、部屋に行こっか」
久々知は、返事をする代わりに笑顔を浮かべた。


部屋に着くと久々知の髪をほどき、長さを確認し始めた。
髪をほどいた瞬間、石鹸の香りがタカ丸の鼻をくすぐる。

「髪、いい匂いする…」
髪を指ですきながら、久々知の髪に顔を近付けて
犬のように匂いを嗅ぐ。

「ちょっ…何してるの…!?」

「平助君の髪、いい匂いする」

「ダメだよ…今日、実践訓練があったから汗かいてて…」

久々知の正面に回ると首筋に顔を埋める。
耳にタカ丸の唇がかすかに触れてくすぐったい。
「ホントだ…今日は、少し汗の匂いが混じってるね」
にっこり微笑むと久々知の唇に自分の唇を重ねて、久々知の感触を味わうように角度を変えて何度も深く重ねた。

タカ丸の舌が唇の形をなぞると久々知の唇が、少し開いた。
「…っ…は…ぁ」
そこから舌が滑り込み、久々知の全てを奪うように深く深く絡めていく。

「ッあ…ん…」
時折漏れる甘い声に満足しながらも
唇を重ねたまま、久々知の上から覆い被さる。
気が付くと久々知は畳の上に背中を預け真上にタカ丸の顔を仰ぎ見る形になっていた。

「んんッ!…んっぁ…ぅ…」
久々知の胸元に手を差し入れ肌着の上から突起を摘まむとぷくりと立ち上がっており、
タカ丸は満足そうにそれを確認した。

ピクリと身体が跳ね、突起が性感帯だと教えてくれる。
股間の部分は、布を持ち上げ色を変えていた。
久々知の口端からは、互いに交換しあった唾液と、甘い声が溢れ出す。


「ッ…ぅう…んっ!んんっ!」
膨らんだ股間の部分を指でなぞると、胸より良い反応を見せた。


久々知が、タカ丸を押し退けようと身体を押してみるが、両腕は器用に頭上に纏め片手で押さえられてしまった。
気持ちとは反対にタカ丸の右手は、久々知の陰茎部分を布の上から扱き始める。

「んッ…っ…んんんッ!」
唇を重ねたままの為、声にならない声を上げながら身体を跳ねさせ久々知は達してしまった。

「あれ?…出ちゃった」
「っはぁ…はぁ…タカ丸さんのバカ…ひどいよ」
腕をほどかれ、半身を起こした久々知は、頬を紅潮させ目に涙を浮かべている。

「ごめんね。出ちゃうと思わなくって…」
久々知の頭を撫でながら、申し訳なさそうに苦笑を浮かべた。

「そんなの!
…触られたら…出ちゃうに決まってる…」
小さな声でそう言うと
恥ずかしそうに横を向いてしまった。

「ごめんね。代わりに平助くんをうんと気持ちよくしてあげるから許して…」


「ぇ……えッ…何するんだよ?」

ぐしゃぐしゃになってしまった久々知の下帯を脱がし、脚を左右に開くと陰茎を口に含んだ。
「ひゃ…っん…いや…だ…」

尿道に残った精液を吸い取るように頭を上下にしながら久々知の裏筋にも舌を這わせる。

「やっ…タカ丸さん…止め…」

達したばかりで敏感なっている為、タカ丸による口での刺激は通常の数倍快楽を与える。
久々知は内腿をぴくぴくと痙攣させ、与えられる快楽に耐えていた。

「っ…っぅう…くっ…また…だ…め…離して…!離して!いやだ…」

タカ丸の肩を叩くが一向に離してくれる気配はなく、久々知はただタカ丸の肩口を掴みながら、耐えるしかなかった。
が、敏感になっている身体は、我慢が利かない。
耐えられずに口内に射精した。

「っ…平助くんの、二回目なのに味が濃いね」

肩で息をしながら久々知は、続けて射精したことにより頭の中が真っ白になってぼーっとしていた。
タカ丸はニコニコしながら今出された精液を手に出すと、久々知の後孔に塗り込んだ。

「ふぇ……?」

精液で滑る指は、いきなり二本も挿入されてしまったが
激しい痛みもなく、快感が広がる身体には
指が孔を弄る度に波のように何度も何度も快感が押し寄せる。


「んっ…あぁ…やッ…そこ…タカ丸さァん…」

「もっと弄って欲しいの?」

「はん…ん…もっと弄って…弄ってくださ…」


久々知の感じる部分を集中的に指の腹で刺激すれば
久々知は、腰をくねらせもっともっととねだる。
指をもう二本増やして、左右に開く。
舌で孔を刺激すると久々知の陰茎はプルプルと震え
先っぽからは、ダラダラと蜜を溢れさせながら快楽に浸っている。

「ぅあ…あ…タカ丸さァん…もっと…奥…弄ってください…」

「奥を弄って欲しいの?」
「は…はい…奥が…むずむずして…指で掻いてください…」

「いいよ。でも、その前に平助くん自分で掻いたら?」

「…う…ですね…」
久々知は、自分の人差し指と中指を孔に挿入し
むずむずする場所を掻こうと根元まで入れてみるが届かない。

くちゅ、くちゅと水音を響かせ孔を弄る姿はいやらしく
タカ丸は鼻血が出そうであった。


「あ…はぁ…はぁ…届かないよ…」
タカ丸さん…と、切なげな声を上げタカ丸の指を自分の後孔に誘導する。

「タカ丸さんの指で……願いします…」

顔がにやけてしまうのを我慢しながら
いいよと、指を二本挿入して、久々知が望む部分を掻いてみる。
しかし、細くて長いタカ丸の指でも久々知が望む部分を掻いてやる事ができない。

「ダメだね…指も届かないよ」

「はぁ…ぁ…何とかしてくださ…むずむずして、掻いてくれないと…おかしくなる…」
膝と膝を擦り合わせてモジモジとしている。

「何か…あァ、筆がいいかな?」
机から筆を取る。
筆先で雁首…尿道…陰茎…孔と撫でてやると
ぴくぴくと身体を跳ねさせて、透明な液体を溢れさせる。
「っは…くすぐったい…変な気分…
んっ…っァ…」

筆を孔の中に挿入し中を筆先で撫でてやると
焦れったいのか、良いところに当てようと腰を揺らす。

「柔らかい筆先じゃ、物足りないかな?
固い柄の方がいいよね。」
筆を逆さに持ち代えて、内壁を刺激しながら
柄をすっぽりと中に納めてしまった。
出ているのは筆先のみ。
パッと見、小さな尻尾が生えているようだ。

「あァ…んっ…」
脚を大きくM字に開かせて孔をじっと見てみると
孔がきゅうきゅうと筆を締め付けている。

「タカ丸さ…そんな…見ないで…ください」

陰茎からは、次から次へと孔に向かって蜜が溢れてくる。
勿体無いと言って、タカ丸は会陰の辺りから陰茎の先まで舌を這わせて蜜を掬い取る。
その度に、久々知の腰は揺れ筆が奥へと深く潜り込む。

「っん…タカ丸…さァん…お尻の筆…も、抜いて…」

「なんで?」

「…中でごりごり…する。」
「気持ち良くていいんじゃない?」

「なっ…か、違う。細くて、物足りない…」

「じゃあ、抜いて…あれ?奥に入り込んじゃった」
孔に指を入れて取り出そうとするが、指の届く範囲に筆はない。

「んん…ッ…アァ…抜いて…」

「平助くん、お尻に力入れて?」

戸惑ったような表情を見せたが、久々知は恥ずかしそうに目を伏せながら孔に力を入れる。
M字に開かれた脚の間に見える孔は、力を入れる度ヒクヒクと収縮する。

「あ…は…ッ…んん…」
静かな部屋に久々知の息遣いだけが響く。

タカ丸が、孔に指を入れると奥の方で指先に筆が触れた。

「平助くん、もう少しで僕の指に届くよ。
取れるところに来たら、すぐに取ってあげる。」

久々知を仰向けに寝かし、腰を正座した膝の上に引き寄せた。
膝裏を自分の肩に乗せて
孔を二本の指で開き、じっくりと見つめた。

赤く熟れた中は、久々知が力を入れる度に
ヒクヒクと蠢き筆を体外へ押し出す動きを見せる。

少しづつ、筆が姿を現し
既に取り出せる所まで来ていたが
いつもは、男らしく堂々としている久々知の
羞恥に震える姿を見ていたくて筆が体外へ姿を見せ始めるまでじっくりと観察をした。
久々知からは、取って、と何度もせがまれたが理由を付けて
舌を這わせ身体を味わう。

「…さすがにもう…我慢できないや…」

「ぇ…」

ずるりと濡れた筆を体内から抜き取ると
雄々しく猛るタカ丸の肉塊を最奥まで突き立てた。

「ひあ゛ぁぁぁ!!…あ…ァ…」

「全部…入れちゃった…」
「っ…ヒド…オレ、壊れちゃうよ…」
「だって、我慢できなくて…平助くんの中気持ちいいから。」

話もそぞろに、タカ丸は腰を動かし始めた。

「あぁぁん…タカ丸さ…ん…」

快楽を互いに貪りながら、夢中で絶頂を求めた。

――――――――

陽も少し傾き始め、部屋の中には
緋のような朱が満たす。

二人は、畳に背中を預け
余韻に浸っていた。




「平助くん…すき…だよ…」

瞑っていた目がうっすらと開き、タカ丸を映す。

「タカ丸さんは、そうやって簡単に言葉にする…オレは…」

久々知は視線を逸らし、タカ丸に背中を向けた。

「オレだって………なんだけど…」

え?と聞き返したタカ丸が、久々知の顔を覗き込もうと見やると
夕陽のように耳まで真っ赤に染めた久々知がいた。


重要な言葉は聞こえなくともそれだけで、久々知の気持ちが解る。
フフ、と微笑み赤くなった耳に口付けると
更に真っ赤に染めてうずくまってしまった。


シてる最中は、あんなに恥ずかしい言葉を言っていたのに
ただ「好き」という言葉は、こんなにも恥ずかしがるとは

「好き」って言葉を言う方が、余程恥ずかしくないような気がするのは
内緒にしておこうと思うタカ丸でした。


そして…
本来の目的、「髪を切って貰うこと」これが達成されていない事に
気付くのは陽が山の向こうに沈んでしまってからでした。


END

20110820
春夜

初!タカ久々♪僕の中のタカ丸は、久々知に甘々で時々黒くなってみたり(笑)
久々知は、男っぽいからこそ堂々とえっちな事も言えちゃったり…そんなイメージで作り上げてしまいました(笑)