痴漢と何とかにご注意!



「おい!桃、さっさとしろっ!おせぇ!!」

「まってろってー。」

「まてねぇなぁ、まてねぇよ」

俺が桃城の真似をして言ってみせると、互いにぷっと吹き出して大声で笑ってしまった。

今、俺達は一緒に住んでいる。

何故か一緒の高校に行って卒業して、大学は別々になったけど

近いから一緒に暮らそうと言われて今に至る。

「よしっ!お待たせ!」

「ったく、遅刻するだろ!行くぞっ!」

そう言って、俺は走り出す。

あいつは、今でもライバル視してるから俺に負けないようにと猛ダッシュしてくる。

それで、毎日2人ともクタクタになって駅に着く。

俺達2人の大学は、最寄の駅から俺は4駅、桃城は5駅。

俺の方が先に降りる。

いつも、電車は出勤・通学ラッシュで大変だけど、その中でだけ、手を繋いでいられる。

今日も、いつもの様に手を繋いでる。

えっ・・・ちかんか・・・・?

尻を撫で回されている。

桃城かとも思ったんだけど、前に居るし、何より片手で俺の手、

もう片方の手でバッグを持っているから有り得ない。

「気持ち悪い・・・・・・。」

俺は青ざめながら本当に小さく呟くと、桃城がすぐに反応して心配してくれた。

「大丈夫か?酔った?」

俺は小さく首を振る。

恥ずかしいけど、桃城に痴漢の事を耳元で話すと桃城は

俺の身体を自分の所に引き寄せて抱きしめた。

「桃・・・やだ・・・・・まだ・・・っく」

唇を噛み締めてピクンと身体を反応させ、桃城の服を掴む。

痴漢は、俺と桃城の身体の間に手を滑り込ませ、執拗に俺のモノを触ってきた。

桃城の顔が、一気に怖い表情に変わって、痴漢の腕を掴もうとした瞬間。

電車が大きく揺れて、手を繋いでいなかったため、桃城と俺の身体は人の波にのまれ、

遠く離された。

俺は、桃城と離れた不安の反面、痴漢とも今ので離れただろうと、密かに安心した。

しかし、安心したのも、つかの間だった。

後ろから声がしてきたのだ、俺の耳を舐めながら。

「海堂・・・お前って、エロいフェロモン出してるの知ってた?」

この声には、聞き覚えがあった。

大学の講義で、良く俺の隣に座ってくる奴。

こいつの腕を掴んで拒んでいるのに、それにもかかわらず、俺のズボンのチャックを開け、

中に手を挿れて直に触れてきた。

こいつは「気持ちいい?」などと、耳元でほざいてきたが『気持ちいいわけねぇだろ!!』

逆に気持ち悪ぃよ・・・・。

他の奴に触られるなんて。

根本的に男が好きなわけじゃないし、桃城だから・・・・・。

「もう、我慢できねぇ・・・・」

この男に制裁を加えてやろうと、こいつの足を思いっきり踏みつけた時

いつの間にか傍に来てくれていた桃城が、この男の腕を掴んで「この男、痴漢だ!」と叫んだ。

もちろん、俺が被害を受けていたなんて、分からないように配慮してくれた。

この男を、警察に連れて行こうかと言われたが、大勢の目に痴漢として辱められたから、

許してしまった。

そしたら、桃城は「許せねぇ!!」と言って、人通りの少ない所に連れて行って

顔の原型を留めない位にまで、殴ってしまった。

その男は、俺に痴漢をしたために警察にも言えずに逃げて行った。

「桃・・・・あれは、やりすぎと言わないか?」

俺は、苦笑いを浮かべながら問う。

「いいの!あれくらいやらないと、懲りないでしょ?しかも、薫のモノを触りやがって!!!!!許せんっ!!」

こいつは・・・・・。

最初のは、建前で、最後に言ったのが本音だ・・・・。

全く・・・・。まぁ、いい。俺の事を想ってやってくれた事だ。

今日は、もう大学に行かずに2人で家に帰ってきてしまった。

俺は、あんな事があったから、あのまま電車に乗るなんて嫌だったし

桃城は、心配してついてきた。

こいつは、心配と言う事にかこつけて、ただのサボリだ・・・・。






「ちょっと、シャワー浴びてくる・・・。」

「あぁ、いってらっしゃい。」

テレビを見ていた桃城は、俺の方に振り向いてそう言った。

俺が脱衣所で服を脱いでいると桃城が入ってきた。

「やっぱ、俺も入るから、一緒に入ろう?」

「はぁ?馬鹿かてめぇは。ガキじゃねーんだから、一人で入れ!!」

俺が風呂場に入ると桃城もついてきて、俺を後ろから抱きしめた。

「ちょっ・・・フザケンナ!一人で入れって言ってるだろ!!」

「薫の身体、洗ってやるよ。さっきの奴にどこ触られたんだっけ?」

俺が恥ずかしくて黙っていると、まずはココだろ?と泡のついた手で舐められた耳を洗っていく。

「次は・・・ココ。」

俺のモノを後ろから両手で包み込んでしごく様に洗いだ出した。

「いやだっ・・・桃っっ・・・そんなの洗うって言わなっ・・・っあぁ・・・」

「洗ってるよ。ちゃんと、擦ってあげてるじゃん。」

桃城は意地悪く細く笑みを浮かべた。

「擦ってるからって・・・洗ってるとは言わないだろうがっ!!」

桃城からの意地悪な愛撫を我慢しながら、そう怒鳴った。

「あ、ココも洗ってあげるな?」

そう手を伸ばしてきた所は、陰嚢だった。

揉む様な手つきで、俺をその気にさせようとする。

いや、もうすでにそういう気にはさせられていた。

桃城になら、どこを触られても、感じるから。

「もっ・・・やぁ・・・立ってられない・・・」

力が抜けていく身体を一生懸命支えるが、支えきれずに桃城の身体に抱きついた。

「もう許して・・・こんな、意地悪なのは嫌だ・・・」

「ゴメン、ゴメン。これからは優しくするから」

桃城はいつもの笑顔を見せた。

「一回、泡流そうか。」

俺は、小さく『うん』と頷いた。

2人とも、シャワーで泡を流してから、浴槽に入る。

桃城は、後ろから俺を抱きしめるような形で入った。

俺を抱きしめる桃城の手が、かすかに俺のモノに触れてる。

本人は、分かっていない。

さっきも、中途半端に終わったから、こんな・・・身体がおかしくなる。

「桃・・・もぅ・・・しようよ。俺、そろそろ我慢出来ない・・・。」

俺は、真っ赤になりながら、そう言って俯いた。

少しの間、驚いていたがすぐに笑った。

「可愛いなぁ、薫は!」

ぎゅっと強く抱きしめられた。

「なっ・・・なにすんだ!本当に恥ずかしいんだからっ・・・」

俯いたまま、されるがままになった。

「あはは、はいはい。」

こいつは笑うけど、俺は本当に恥ずかしかったのに。

「さて、大好きなお姫さんの望みを叶えてあげようかな。」

大好きな・・・「お姫さん」はどうかと思うが、「大好きな」その一言でやられた。

でも、あえて言ってやらない。

調子に乗るから・・・・・。

俺は、密かに口元に笑みを浮かべた。

その瞬間、身体がビクンと反応する。

後ろの蕾に桃城の指がゆっくりと入ってくる。

「あっあっあ・・・急に入れるなっ・・・っう・・・」

急に中を押し広げられて、苦しく喘いだ。

「ゴメン。」

桃城は慌てて抜き、指にボディソープを塗ると、もう一度ゆっくりと挿れてきた。

「あっ・・・あっ・・・んっ・・・」

「薫のいいトコってこの辺だったよな?」

そう言いながら、桃城が第一間接を曲げて、少し刺激すると俺は身体を

ビクビクと反応させ、白い液体を吐き出してしまっていた。

「あっ・・・あぅ・・・ゴメン・・・我慢できなくて・・・」

俺はイッた時の反動で瞳に涙を溜めながら、桃城を見上げた。

「俺も、もう我慢出来ねぇ・・・挿れるよ・・・」

「えっ?ちょっ・・・ひぁぁっ・・・」

俺達は、いつもより長く繋がった。

いつもより、桃城が俺の身体を気に掛けてくれたから。

でも、あいつが動くと中にお湯が一緒に入ってきて身体が熱い。

変になりそうだ。

「桃っ・・・もっ・・・イッあああああ・・・」

桃城も俺が絶頂した後に俺の中で果てた。

「はぁ・・・はぁ・・・桃・・・身体が熱い・・・」

「えっ?」

気付くと海堂の身体は朱色に染まり、力なくぐったりとしていた。

「おい・・・大丈夫か?ヤベ・・・のぼせちまったか・・・。」

俺は慌てて、海堂の身体をシャワーで流し、体内に残った俺の精液を指で掻き出した。

さすがに、気が引けるがこうしないと、絶対大変な事になるから許してくれ。

そう、思いながら優しく中を綺麗にし終わると身体にバスタオルをかけて、

ベットに寝かした。

「こういう時は、どうしたらいいんだっけ・・・」

とりあえず、身体を冷やさなきゃと思い、うちわで海堂の身体を扇いだ。
10分か・・・・15分くらい経ったか?それとも、もっとか・・・。

俺は、いつの間にか看病していたつもりが

寝ちまってたみたいだ。

「ん・・・毛布がかかってる・・・薫・・・?」

ベットに寝ていたはずの海堂の姿が見当たらない。

リビングに行ってみると、夕食を作っている海堂が・・・。

「薫・・・身体、大丈夫なのか?」

「あぁ、お前が看病してくれたから。」

「いや・・・でも、気付いたら寝ちまってたし・・・」

俺は苦笑いを浮かべた。

「仕方ねぇじゃん。昨日遅くまでレポート書いてたんだろ?」

あいつは笑いながら、そう言った。

『気付いてたのか・・・』

海堂を起こさないようにしていたはずなんだけど・・・。

「ああ、まぁ・・・そうなんだけど。」

「不思議そうな顔してるな?」

笑いながら、余りにも理由を聞きたがっているような表情をした俺に向かって言った。

「えっ?いや・・・・。」

「顔にしっかり、書いてあるぞ?理由を知りたいって!教えてやるよ」

「隣に居なかったから・・・。ただ、それだけ。」

きょとんとした俺に、詳しく話し始めた。

「いつもさ・・・お前、俺を抱きしめて寝るだろ?

だけど、俺はいつも不安になって夜中に目が覚めるんだ・・・・。

で、いつもは抱きしめたまま起きないから、俺の目が覚めたときでも抱きしめてるだろ?

それで、安心してまた眠るんだけど・・・昨日は、

お前が隣にいなくて、眠れなかったんだ。

お前が眠るまで・・・。

「そっか・・・。ゴメンな?ってか、俺が居なくなると淋しくて、眠れなくなっちゃうんだ」

俺は、嬉しいような照れるような、そんな気持ちが全部合わさって、ニンマリと笑った。

海堂は案の定、顔を赤面させて、照れ隠しのために怒り出した。

「ふざけんなっ!違うわ!ボケッ!!」

「あ−・・・はい。はい。」

ここで、これ以上怒らせると、包丁を投げつけてきそうだから、

怒らせないようにしないと・・・・。

過去一回、キッチンに海堂が立っている時、今回のように怒らせて

更に怒らせたら、包丁が飛んできたからな・・・・。

「お前・・・・そう思って無いだろっ!!」

またもや、海堂が俺に向かって包丁を投げつけようとした時。

「今日も、夫婦ゲンカ?」

「!?不二先輩!!手塚部長も・・・・・」

2人で声を揃えて、叫んでしまった。

「相変わらずだね?二人とも。久しぶり♪逢うのは・・・・何年ぶりかな?」

相変わらず、にっこりと微笑む不二先輩には何も言えない。

「チャイムを鳴らしたんだが、反応が無くて・・・。

でも、中からは声が聞こえたから、周助が勝手に・・・。すまないな。」

手塚部長が苦笑を浮かべながら、そう言った。

不二先輩の行動は、大体想像が出来る・・・・。

「・・・・・・。判ってます。どういう状況だったか・・・・。大体想像がつきますから・・・」

不二先輩の事だから、どうせ止める手塚部長の言葉は余り聴かずに、

引っ張って入ってきたんでしょうよ。

「そ・・・・そうか。」

「そうだよねー。」

にっこりと静かに微笑む不二先輩が怖い・・・。

「とっ・・・ところで、お二人は何しに・・・・。」

海堂がビクビクと怯えながら、不二先輩に尋ねる。

「いや・・・不二が2人がエッ」

「2人が元気にしてるかなーと思って、遊びに来たんだ。」

「手塚部長を押し退けて、言葉を遮った不二先輩には、絶対裏があるって・・・。」

「部長が『エッ』って言った続きも気になるし・・・・。」

俺達がボソボソと小声で話していると、不二先輩も小声で手塚部長を怒っているみたいだ。

「あ、もうこんな時間だ。色々やる事があるんだった!今日は、これで帰るね!!

おじゃましました。また、明日もよろしくね♪君達の隣の部屋だからv」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

本気で言葉を失った。

「こんなのが毎日続いたら・・・お・・・恐ろしい・・・。」

「考えたくない・・・。」

海堂は青ざめて、小さく呟いた。



END?(NEXT?)


今回、痴漢電車でした(笑)珍しいものにチャレンジ!!
と思って書いたのがコレ。いかがでしたか(笑)
コレ書いてて結構楽しかったんですよ♪
また、近いうちに何か書きたいな・・・・

春夜