promise 約束
-7-
「こんなに近くで見るの初めてかも・・・」
海堂は桃城の隣で木と木の間から見える花火を見つめていた。
「そうだな・・・しかも、こんなにゆったりした時間で見るのも久しぶりだな・・・」
花火を見ながら呟く。
「こんな格好させられたけど・・・神尾たちに感謝かな・・・」
そして桃城の肩に寄りかかった。
「あはは、そうだな、ちょっとは感謝しないとな!」
そういって笑った。
「明日・・・練習試合・・・相手誰だろうな?」
ふと海堂は思ったことを口にした。
「あぁ、どこだろうな?手塚部長ったら、もったいぶって教えてくれないんだもんな~。
気になるじゃんよー。なぁ?」
桃城がそう言うと、言い方が面白かったらしく海堂は笑い出した。
「ばぁか。」
そういって立ち上がる。
「そろそろ帰ろう?」
花火も終わりあたりは静かになっていた。
「そうだな?帰るか・・・」
二人は家に向かってゆっくり歩き出した。
「今日は楽しかったな♪また、来年にでも一緒に来たいな・・・」
「今度はふつうの格好でだけど・・・な。」
海堂は一歩前に出て後ろを振り向く。
「アハハ、今回の薫も可愛かったけど、男の格好で来ような?」
桃城は笑いながら言った。
「今度はお前も浴衣着ろ!男物でもいいから」
そういって笑う。
「・・・いいぜ」、男物ならいくらでも着てやるよ♪でも着るんだったら一緒に着よう」
「・・・俺も着んの?なんか浴衣って気使って、疲れる。」
首を傾げながら苦笑いをした。
「え・・・俺だけ着てもな」
桃城も苦笑いする。
「じゃぁ、俺も着るよ・・・」
夜空の下を歩いていく。
「来年は二人で浴衣着てまた来ようか・・・」
そう言って海堂と手を繋いだ。
「・・・うん」
海堂は顔を赤らめながらもギュッと桃城の手を握り返した。
練習試合当日・・・。
「手塚部長、練習試合の相手ってどこなんですか?いい加減に教えてくださいよ!」
手塚に言い寄る桃城。
「対戦相手は、不動峰中だ。」
手塚は静かに口を開いた。
「お!噂をすればお出ましだ。」
不動峰中が来た方をみんな一斉に見る。
「よぉ。桃城♪昨日は楽しかったな!」
ニヤリと神尾は桃城を見てから海堂を見た。
「あぁ、楽しいものがみれたし・・・可愛い薫がみれたし・・・」
ボソッと「可愛い」の言葉を聞こえないように呟いた。
「・・・何だって?」
桃城の隣にいた海堂には当然聞こえたため睨み付ける。
「アハハ、聞こえちゃったんだ・・・」
海堂ににらまれ、桃城は苦笑いを浮かべた。
「余計なこと言うんじゃねぇ」
そう言うと桃城から顔を背ける。
「ははは・・・ごめんな・・・さ・・・い・・・」
苦笑いしかできないまま桃城は海堂と反対方向へ歩いていった。
「おーい、桃~!」
その時、大石が走って追いかけてくる。
「何ですか?大石先輩」
振り返ると息を切らした大石が立っていた。
「おまえと海堂、ダブルスだろ?ダブルス1だからすぐ、コート入れ」
そう言ってコートを指さした。
「あ・・・はい。」
そう言うとバッグから自分のラケットを取り出してコートに向かった。
「・・・相手は・・・誰が出るんだ?」
コートに一歩遅れて入った海堂が桃城に聞く。
相手はまだベンチに入っていない。
「う~ん、誰だろうな?・・・神尾達だったら笑えるけどな」
そう言って桃城は海堂と共に笑った。
「・・・笑える・・・けど・・・それっぽいぞ?」
海堂はコート入りしてきた人物をまじまじと見た。
「まじかよ・・?冗談のつもりだったのに・・・」
桃城は相手を見て苦笑いを浮かべた。
「・・・もしかして、相手ってお前らかぁ?」
神尾も桃城たちを見つけ嫌そうな顔をする。
「そのもしかして・・・みたいだな。俺達どうせまた引き分けになるんだぜ」
桃城がそう言って笑い出すと神尾達も笑い出した。
「まっ、やってみなきゃ、わかんねーけどな♪」
そう神尾は言う。
「あたりまえだっ」
試合開始と共にボールが高く上げられた。
Fin
←promise 約束 6 に戻る