promise 約束
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注:これはストリートテニスの話の途中です。←作者注意(笑)


「これは、お前にしてやられたよ」

唇を手で押さえて桃城は少し顔を赤らめた。

「・・・思ったんだけどさ、お前腰大丈夫なのかよ?連続でヤると腰にくるんじゃねーか?」

「大丈夫だよ、俺、お前より体力あるし・・・それに、お前の三倍筋トレやってるから」

少し勝ち誇ったように笑った。

「ああ〜さいですか!?じゃあ、心配するだけ無駄だったと・・・」

桃城は苦笑いを浮かべた。

「・・・別に・・・心配してくれるのは・・・・嬉しいから・・・」

すっかり身支度を整えた海堂が振り返ってポソッと言った。

たぶん、桃城は聞こえていないだろう。

「ん・・・?今なんか言った?」

案の定聞こえていない・・・・様に見せかけて・・・

「聞こえていないなら、それで いいよっ」

テニスバックを肩に掛けると扉の方を向いた。

「何だよ、言ってくれないのか?心配してくれただけでも嬉しいって・・・」

ニヤリと嫌みに笑い、聞こえていた為海堂に言い返す。

「っ!?」

思わず反応して勢いよく振り返る。まだ座っているとばっかり思っていた桃城が真後ろで立っていた。

桃城は、にっこり微笑むと、キスをした。

しかし、さっきとは違い腰が砕けてしまいそうなディープなキスだった。

「ふっ・・・桃っ・・・」

不意打ちなキスに思わずバックを落とす。

「ごちそうさん♪」

桃城は色っぽい顔をして舌なめずりをした。

「・・・っ」

海堂は、手で唇を押さえて何か言いたげだ。

「何か言いたそうだけどなにか?」

ニヤッと桃城は意地悪な笑みを浮かべた。

「ばか桃!(ばかもの)」

そう一言言って睨んだ。

「ハハッ・・・・怒ったって俺を誘ってるようにしか見えないぜ?」

ヤりたい盛りのケダモノの様な瞳で海堂を見る。

「・・・っっ」

これ以上言っても逆に犯られるだけだと悟ったのか、

慌てて下に落ちているバックを拾おうと手を伸ばす。

「・・・何で、そんなに帰りたがるんだ?俺が・・・怖い?」

少し悲しそうな表情を浮かべる。

「これ以上好きにされてたまるかっ・・・だいたいダブルスの練習は・・・」

哀しげな桃城の誘惑に惑わされないように海堂も必死である。

「チッ!落ちないか・・・残念。ああ、ダブルスの練習な?分かってるって!」

悲しそうな表情から一変して悔しそうな顔に変わった。

「・・・・(やっぱり・・・)」

ため息をつきながら改めて鞄をとる。

「これから練習行くんだろ?」

「ああ!!もちろん行くぜ!」

桃城もラケットの入った鞄を手に取り海堂に続いて部屋を出た。

「・・・・・・」

家を出てから海堂はあまり言葉を発しなかった。(いつものことだが)

「・・・・・・」

桃城も何もテニス場に着くまで言葉を発しなかったが、頭の中はピンク色で染まっていた。

負けたら、海堂をどうしようかと・・・

それとは逆に海堂は橘杏がまだコートにいたら・・・そんなことを考えていた。

(・・・さっき、俺あかあらさまに顔に出てたし・・・)

そんなこんなこんなをしているうちにテニス場に着いた。

「ついた、着いた〜!さーてやるか!?」

先にいたのは、神尾達だった。相変わらず『リズム〜♪』などと言って試合をしている。

「むっ・・・」

一番最初の地区大会で海堂の相手がリズム野郎だっただけに海堂も乗り気だ。

「よう!神尾じゃねーか!久しぶりだな〜。俺等と一緒にやらねーか?ダブルスの練習したいんだけど」

桃城は神尾と仲良さそうに話していたため、いつ仲良くなったのか知らない海堂は少しムッとした。

「・・・桃、今日はいいよ。また、開いてる日に来よう。」

なんだか無性に腹が立った海堂はくるりと背を向けた。

「おっ・・・おい、海堂!何でだよ?俺達の力を試すチャンスじゃねーか!?

滅多にないぜ?こういうのは・・・。しようぜ?な?一生の頼み」

「・・・・・」

ふと隣のコートを見ると、神尾がニヤニヤ笑いながら見ている。

「・・・・やってやる・・・・」

挑発に乗った海堂はなたやる気になったようだ。

「じゃあ、賭けしようぜ♪負けた方のチームのどちらか一人が女用の浴衣を着て、夏祭りに行く。

ちなみにもう一人は男用な?要するに男版カップルをするってことだ♪」

ニヤニヤしながら、神尾は提案した。

「は?何で女物を一人だけ・・・あっ・・・」

桃城は乗り気ではなかったが、ふと「一人だけ」と言う言葉に引っかかりを感じ、

そして神尾の企みを理解した。

「どうだ?いい賭けだと思わないか?桃城♪」

なぜか、桃城にだけ問う神尾。

「よぉーし!ノった!やったろうじゃん!」

桃城は神尾に向けて親指を立てる。

「じゃあ、始めるぜ?サーブはこっちからな?」

そう言い終わるとボールを何度かバウンドさせて高くボールを上げると打ち込んだ。

3時間後・・・


「はぁ、はぁ・・・何で決着つかないんだ!お前等いい加減負けろ!!

俺の中ではお前等が負ける予定だったのに、どうして負けないんだ?」

いつもの調子でリズムに乗っても決着がつかない為に神尾はイライラしていた。

「それはこっちのセリフだ・・・だいたい予定って何だ!」

スタミナ自慢の海堂もそろそろきているようだ。

「予定は予定だ!!よし、日没まで後30分だ。それまでに決着がつかなく、

引き分けのままだったら両チーム浴衣を着るしかないな・・・。」

深司も神尾も限界が来ているようだった。

「深司大丈夫か?」

深司にボソッと訪ねる。

「大丈夫、もう少しでマムシ野郎を押さえられるのになぁ」

いつものごとく、ボソボソと喋っていた。

「フッ・・・大丈夫か。じゃあさらにリズムに乗るぜ♪」

やる気を出してきた神尾と深司だった。

「よぉし、いいだろ。飛ばすぜ?海堂!」

ラケットを持ち直した桃城は海堂をチラッと見た。

海堂もゆら〜んゆら〜んとやる気を出していた。

30分後・・・


「はぁ・・・もしかして・・引き分け・・・?」

そう言って神尾は座り込んだ。

それぞれが、それぞれのコートでへたり込んでいる。

「はぁ・・・はぁ・・・、そうみたいだな・・・仕方ねーな、しかたねーよ。引き分けだな。

浴衣はどっちが着るんだ?海堂。もちろん・・・お前だよな?」

ポンッと海堂の肩をたたく。

「っな!?オレが!?てめーが着ろよ!」

海堂は慌てて桃城に言い返した。

「俺が着たら、ただの女装した変態じゃねーか!!やっぱりお前が着るべきだろ?な?

頼むから着てくれよ。薫の言う事これ以外で何でも聞くから・・・」

桃城は顔の前で手を合わせて頼んでいる。

「これ以外って・・・卑怯なっ・・・大体女装になるなら、オレだって同じじゃねーか」

海堂も必死だ。

「何でも、言いなりになるから頼むよ〜。薫が着たら可愛いから大丈夫だ!!」

頼み倒す桃城。

「俺が着たら犯罪だろ!?」

そう、きっぱりと言い放った。

「・・・まぁ、可愛いは余計だがお前なら間違いなく補導されるだろうな」

きっぱりとこちらも言い張る。

「うるせー!!まぁいい、着てくれるんだよな?薫v」

にっこりと微笑む桃城。

しかし、目は笑っておらず『やれ』と目で訴えていた。

「・・・・(この野郎・・・)」

そのまま、海堂は桃城を睨み付けた。

「薫!着るのか着ないのかどっちだ!もちろん着るんだよなぁ?」

桃城はそろそろこの話に決着をつけたかった。

「そこまで言うなら着てやるよ。ただし!オレの言うことは全部聞けよ?例えば、

部長を怒らせてグランド300周とか」

あっさりという、海堂。

「はい、はい、分かったって。しかしなぁ〜もうちょっと色っぽい頼み事は無いのかよ」

海堂の頼み事にうんざりした桃城だった。

「色っぽくなくて悪かったな」

海堂の嫌味が言い方で伝わる。

一方、神尾たちは・・・

「俺らの場合はもちろん、お前だよな♪深司♪」

隣のコートでも同じ事を深司が神尾から言われていた。

「ふざけんなよ。バカ、お前が着ろ。アキラの方が似合うよ。きっと」

文句すらも、ボソボソと神尾に話している。

「似合うって・・・それは、お前だよ」

苦笑いしながら深司に言う。

「はぁ・・・・分かったよ・・・俺が着るよ・・・アキラ覚悟しておけよ。この恨みは高くつくからな?」

深司はとうとう着ることを承諾したようだ。

「よしっ!」

狙い道理収まった神尾はガッツポーズをした。

「ガッツポーズしてるけど、後でどうなっても知らないから・・・」

深司は、ボソッと言い放った。

「・・・・・」

確かに・・・と思いながら苦笑いをする神尾。