HappyHappyBirthday 4


誕生日当日、海堂は桃城を自宅へ招いていた。

「・・・どうぞ・・・」

玄関の扉を開けて桃城を中へ通す。

「おじゃまします・・・」

桃城は遠慮がちに家に上がる。

「部屋・・・行ってて。飲み物持ってく。・・・あ・・・部屋・・・階段昇ってすぐ左」

静かにそう言う。

初めて来たため勝手が分からず海堂の言われたまま階段を上がって

海堂の部屋らしきところへ入って行く。

そわそわして落ち着かない桃城が部屋の中を見渡していたとき棚の上に見覚えのある

壊れたガラス細工が飾ってあった。

「これ・・・俺が造った・・・どこにいったかと思ったらこんな所に・・・ありがとな・・・」

丁寧に元の形に近く直してあり、じっと見つめ微笑んだ。

その直後、両手にグラスを持って部屋に入ってくる海堂。

「・・・なんだ、座ってろよ。なんでそんなところに突っ立って・・・あっ!」

グラスを置こうとしてガラス細工がこの部屋においてあることに気がつく。

あわてて棚を見るがすでに桃城に見られてしまった事を悟ると耳まで赤に染めながら

その場に立ち尽くす。

「ハハ・・・見ちゃった・・・ありがとな?こんな壊れちゃったヤツでも

直して飾ってくれるなんて、すげーうれしいよ。」

桃城は幸せそうな笑みを浮かべ手板。

「・・・だって・・・桃が俺のために造ってくれたヤツだし・・・壊したの俺だし」

半ば不貞腐れ気味に呟く。

「でも、壊れちまって意味なかったのに・・・。わざわざ直して飾ってくれてありがと」

照れくさそうに海堂に礼を告げた。

「っ意味なくない!俺に・・・とっては・・・すげー意味あるからっ」

桃城に「意味ない」と言われてパッと顔を上げる。

桃城は少しびっくりした表情を見せたがすぐ優しく微笑むと海堂を抱きしめた。

「ありがとう・・・意味あるって言ってくれて・・・」

「・・・だって・・・うれしかったし・・・」

桃城の肩口に顔を隠すように押しつける。

「そっか・・・喜んでもらえて俺もうれしいよ」

海堂の頭をなでる。

「じゃぁ、代わりに持ってきたプレゼントはいらないな」

笑いながら海堂の耳元で喋る。

「えっ・・・あんの?」

耳に吐息がかかるとピクンと肩を強ばらせる。

「あるよ。欲しい?」

さらに耳元で囁く。

「・・・欲しい・・・」

目を閉じたまま桃城の低い声に耐える。

「じゃあ、俺の事、好きって言って?素直に言ってくれたらあげるよ」

クスクスと耳元で笑う。

「・・・・・」

桃城の腕の中で海堂が動揺したのがわかる。

「・・・・・・・っ」

震える手でぎゅっと桃城の服を掴むと海堂はギリギリ聞き取れる位の声で言った。

「・・・好き・・・大好き・・・」

好きだと言ってくれた海堂を強く抱きしめ、耳元で俺も好きだよと囁いた。

「・・・桃・・・苦しい・・・それに・・・弟が帰ってくる・・・」

恥ずかしいため言い訳を言う。

「あっ・・・ゴメン・・・」

抱きしめていた腕の力を抜く。

「でも、弟が帰ってきても、この部屋には入らないだろ?」

にっと笑った。

「うるさいっ もう離せっ」

桃城の胸を押し、離そうとする。

「少し・・・もう少しだけ・・・このままでいさせてくれ・・・頼む・・・

今、すげー嬉しくて離したくない。」

もう一度海堂を強く抱きしめた。

「ばか・・・」

観念したように、再度海堂は桃城の背中に腕を回した。

その時、海堂の首筋に痛みが走った。

「んっ・・・」

思わず体を離れようとする。

離れた海堂の首筋にはくっきりと赤くキスマークが付いていた。

「こんなところに・・・・つけんなよ・・・」

赤くなったところを手で隠すように押さえる。

「だって、可愛かったんだもん♪つい、俺が薫のことを好きだっていう印を

付けたかったんだよね〜」

照れ笑いを浮かべながら恥ずかしいことを言う桃城に海堂は赤くなった。

「だからって、こんな上の方に付けたらバレるだろ?」

桃城が付けたのは、かろうじてジャージに隠れるラインだった。

「大丈夫だって!みんな気づかないって!・・・たぶん・・・」

桃城は苦笑いをした。

「気付かねーことを祈るけどな。


上目で睨む。

「ハハッ・・・もし、そんなに嫌だったらバンドエイドか何か貼るか?」

少し隠してしてしまうのを残念そうに言う。

「・・・余計変だろ?」

首に怪我をすること自体あまりない。

「うっ・・・そうか・・・そんなの後で考えようぜ!」

海堂が喋れないようにキスで口をふさいだ。

「っん!?・・・んんっ」

しつこく舌を絡ませてくる桃城に最初は抵抗していた海堂だが、

諦めるようすが無さそうなのを分かったのか、

体の力を抜き口づけに応じた。

「・・・薫・・・しようぜ?」

瞳を潤ませて艶っぽい表情をしてる海堂を誘う。

「はぁっ・・・今?これから?」

まだ呼吸が整っていないのか、肩で息をしながら桃城を見る。

「嫌か?・・・あっ・・・その前に、これ、プレゼントな?」

桃城は鞄の中をあさって、海堂に似合うかと思って買ったバンダナを手渡した。

「あ・・・ありがと・・・」

言葉は少ないが表情はとても嬉しそうだ。

「喜んでもらえるか分かれないけど・・・いつも、使うものがいいと思って。」

照れくさそうに頭をかく。

「嬉しい・・・ありがと・・・けど、使うの勿体ないな・・・」

そう言って嬉しそうに笑った。

「どういたしまして。
勿体ないなんて言ってたら、何も使えねーじゃん・・・大事に使えよ」

ニッと笑った。

「うん。
誕生日に二個も貰えるなんて思ってなかった。
ありがと」

そう言うと桃城に背を向けてバンダナをしまおうとした、その時、海堂は後ろから抱きしめられた。

「・・・薫・・・好きだよ・・・愛してる・・・」

海堂の背中で呟く。

「っ桃!?」

いきなり抱きしめられ驚きを隠せない海堂。

そして海堂が振り向いた瞬間、キスをした。

「んんっ・・・」

深いキスを求められ舌を絡ませていくうちに膝の力がガクッと抜け落ちる。

「体の力が抜けるほど、良かったのか?」

崩れ落ちそうになった海堂を支えてソファーに寝かす。

「はぁっ・・・」

濡れた唇で呼吸を整える。

桃城はワイシャツを脱ぐと、海堂のワイシャツのボタンを全部外して、するりと手を滑らせる。

桃城の指が、海堂の胸の飾りの片方をゆっくりと擦り始める。

下着の下の自分は、勢いを増している為、少しでも早く海堂をその気にさせることが大切だった。

「んっ・・・ふ・・・」

微かながら海堂のそれも熱を帯びだしたようだ。

「いい?」

聞きながら、桃城は海堂の滑らかな、うなじやこめかみにキスを贈る。

「あっ・・・はぁっ・・・んっ・・・」

あの日以来、体を重ねていなかった二人はどちらも敏感に反応していた。

桃城はさらにもう片方の手で海堂のペニスを包むと腰はピクンと浮き上がり、

それだけで透明な蜜が溢れてくる。

「ひぁっ・・・っ・・・桃っ・・・」

海堂の息が荒くなってくる。

「どうした、薫?いつもより気持ちよさそうだぜ?
・・・やっぱり、特別な日だから?それとも、弟が帰ってきてしまうスリルから?」

さっさっきの何倍も興奮して荒くなった海堂の息が、桃城の耳についた。

「っば・・・かっ・・・」

桃城の手の内にある海堂自身も苦しそうだ。

桃城の唇にクスッと好色な笑みが浮かんだ。

しっかりと頭を持ち上げている、そこの丸く可愛らしい先端には雫が溜まっていた。

「イきたそうだな?ここ・・・。
イきたい?」

「っや・・・っ」

意地悪そうに微笑み言う桃城に海堂は押し黙る。

「どうしたの?イきたいの?イきたくないの、どっち?」

意地悪く笑う桃城は、すでに手を止めて焦らしている。

「もし、イきたかったら、俺の方に尻突き出して『おねがい』って言って?」

海堂にとっては、そんな恥ずかしい事が出来るわけが無く、それを承知で桃城は頼んでいるのである。

「・・・・っ」

真っ赤になって黙り込むが、欲望にはそうそう勝てるもんじゃない。

「イ・・・きたい・・・っ・・・イかせて・・・っ」

「じゃあ、ちゃんと言わなきゃ」

にっこりと微笑みを浮かべる桃城。

「なんっ・・・っはぁ・・・おねが・・・っ」

言葉でいじめる方が海堂の羞恥心を煽ることを桃城は知っている。

「ほら、ほら格好は?うつ伏せになって?・・・それから?」

意地悪な事を言う桃城を海堂は瞳に涙を溜めて見つめる。

「っう・・・」

溜まっていた涙がポロッとこぼれ落ちた。

「どうした?出来ない?」

海堂の顔を覗き込む。

「っ・・・」

止められて手に耐えきれず、桃城の言いなりになる。

「いい子だ・・・じゃあ、挿れるよ?」

海堂のお願いのポーズに喜ぶ桃城は、十分に湿っているそこにゆっくりと挿入した。

「ひあっ・・・んっ・・・あっ・・・ああっ」

傷みと快感で喘ぎ声が大きくなる。

「・・・薫、相変わらずキツイ・・・でも、イイ・・・」

二人だけの息づかいが静かな部屋の中に響く。

と、その時、玄関の方で扉が開いて誰かが入ってくる気配と共に「ただいま」
と言う声が聞こえてきた。

「・・・っ!?」

「おい・・・誰か帰ってきた・・・」

挿ったままの海堂は桃城が少し動いただけでも声が出てしまいそうだった為、

海堂の口を桃城は手でふさいだ。

「んっ・・・んんっ」

海堂は喋れなくなり、もがきながら他の音に気を配る。

階段を上がる足音と共に海堂を呼ぶ声がする。

「兄さん・・・いますか?」

小声で海堂に誰が帰ってきたか尋ねた。

そしてそれと同時に口を押さえていた手をはなす。

「んっ・・・はぁっ・・・弟・・・がっ・・・」

喋ろうにも桃城自身が挿っている為上手く喋れない。

「弟・・・大丈夫か?声聞かれない?弟の部屋どこだ?」

小声で海堂に話す。

「っとなり・・・の部屋っ・・・あっ」

苦しそうに小声で喋っていたその瞬間、海堂の部屋の前で足音が止まる。

「兄さん?誰か来てるんですか?」

扉越しに声を掛けられてビクッとする。

「隣の部屋!?・・・おい、薫・・・弟に答えなきゃ」

さらに、小声で聞こえないように海堂に何か言えと迫る。

「桃っ・・・城が来てる・・・っァ・・・からっ・・・部屋・・・行ってろっ・・・」

何とかドア越しの葉末に答える。

「・・・分かりました。
兄さん、具合悪いんですか?様子がおかしいですが・・・」

心配そうな葉末の声がドア越しに聞こえる。

「薫、ちゃんと喋らないと変に思われるだろ?」

桃城が海堂の耳元で囁く。

「っ大丈夫だ・・・・ぅっ・・・なんでもない・・・」

そう言った後、桃城を睨む。

桃城は意地悪な笑みを浮かべ動き出した。

それと共に柔らかな蜜の出入口を指の腹で撫で回した。

一瞬、海堂の躰が強張る。

「んっ・・・や」

その瞬間、また扉の外で声がする。

「桃城さん、兄さんの具合が悪いようなら、僕、隣の部屋にいますので、すぐ呼んで下さい。
兄さん・・・具合悪くても言わないから・・・。」

葉末は、桃城に挨拶をした。

「あっ、ああ、俺がついてるから心配しなくていいよ」

それを聞いた葉末は安心した表情を浮かべて自分の部屋へ入っていった。

「・・・バレた・・・かな・・・」

恐る恐る海堂は桃城の顔を見るように顔を上げる。

「う〜ん・・・」

桃城は苦笑いをしたが、すぐに開き直って大丈夫だろうと言い、海堂を安心させようとした。

「あのさ・・・すげー、おあずけくらってるんだけど、動いてもいいかな?

さっきから、結構きつくて・・・この状態。


照れ笑いを浮かべ、また動き出した。

「んっ・・・はっ・・・桃っ・・・声・・・出ちゃうっ」

苦しそうに声を極力小さくして桃城に訴える。

「分かった・・・だけど、抑えてろよ?」

そう言うと、海堂の口元を桃城は手で押さえて声が出ないようにした。

「んっ・・・ふっ・・・んっんんっっ」

抑えてはいるものの、おあずけをくらっていた桃城の動きは貪るように激しくなる。

一気に引かれては、また突き入れられ・・・内側を大きくかき回す。

その間も、海堂は桃城の手の中で唇を噛みしめて声を出さないようにした。

悩ましく眉をひそめ、快楽に浸って悦ぶ秘密の表情を、惜しげもなく見せつけて。

「っ・・・・んっ・・・んんっふっ・・・・んんっ」

そろそろ限界に近づいたのか海堂は訴えたくても訴えられなくて、辛そうにしている。

「そろそろ、イきたい?」

荒い息も途切れ途切れに、海堂に尋ねる。

「っ・・・んっんっ」

海堂は桃城の質問にうなずいて答える。

さっきより、早く動き出す桃城。

はぁ・・・はぁ・・・と言う桃城の息づかいと、海堂の抑えた声、

ソファーの軋む音だけが響く中、二人は同時位に果てた。

海堂がイク寸前、声が出せないように口を塞がれていた。

そのため、海堂は、はぁ・・・はぁ・・・と肩で息をしている。

乱れた息を調えるように、しばらくじっとしていた。

やがて、両手をあげて、桃城の首を柔らかく絡め取る。

そのまま海堂は少しだけ、体を起こすと、桃城の唇に近付いてキスをした。

海堂の唇が離れた瞬間に、海堂の頭を支えて、もう一度桃城の方から深いキスをした。

チュッという音が合わせた唇の間からもれて、静かな部屋に響く。

海堂は幸せな時間に安らいでいた。